病気の治療 ― 過敏性腸症候群(IBS)

皆さんも経験があるかもしれませんが、書店で本を物色していると必ず腹部に不快感を覚え急にもよおしトイレに駆け込んだり、電車に乗ると決まって断続的な腹痛に襲われ遂に耐えきれず目的駅に達する前に下車してしまうことなど・・・・

 

症候群(ある原因疾病から生じる一連の身体症状・精神症状)と称されるようにこれらも過敏性腸症候群の兆候の一旦を窺えますが、必ずしもそうであるとは言えません。単なる暗示か習慣的・体質的なものである場合が大半です。

 

過敏性腸症候群は腹痛や下腹部不快感や腹部膨満感に下痢や便秘が伴う疾患です。男性患者の場合は下痢症状を伴うことが多く、女性患者では慢性的な便秘症になることが多いようです。

 

生存に関わるような致命的な疾病ではありませんが、症状が悪循環し繰り返すことにより生活に支障をきたし、日常を怯やかし、多くの場合、言わば生活のあり方そのものを大いに損なってしまうことになります。患者さんが抱える不安や苦痛は慢性疾患の中でも最も深刻なもののひとつであると言えます。

 

過敏性腸症候群の原因

様々な専門機関で病理研究・臨床対応が続けられていますが、過敏性腸症候群そのものを発症する確たる原因はいまだに究明されていません。近年の研究成果のひとつに、ある種のストレスにより、対応ホルモンが脳下垂体から抽出されることになり、その刺激により腸の動きに支障をきたして発症することがあると報告されています。


ストレスが加わる度にこの負の働きを繰り返し、腸がその刺激に過敏に反応するようになり、いわゆる「知覚過敏」に陥り、些細な痛みにも過剰反応して、これを脳がまたストレスとして反応し、症状が深刻化して悪循環を起こしてしまうと言う考え方です。


過敏性腸症候群の鍼灸治療

過敏性腸症候群と診断された患者さんの殆どは消化器内科で投薬治療を続けておられます。中には心療内科で心のケアを受けストレスマネージメント療法で回復を期待されておられる患者さんもおられます。


勿論、この投薬療法とストレス管理も共に対処療法としてはそれなりに効果的ではありますが、腹痛や下痢はストレスを具体的に顕在化して現していると言う考え方から、これらの症状を投薬で抑制することにより、新たな負荷がかかり、頭痛や胃痛や嘔吐など別の症状となって現れてしますこともあります。大腸の蠕動運動は自律神経が司っています。


自律神経には運動を抑制する交感神経と促進する副交感神経があり、その両方が互いに拮抗し安定を保っています。自律神経の中枢は間脳の視床下部にあり、視床下部は大脳皮質の働きの影響を受けています。


大脳皮質は知覚・随意運動・思考・推理・記憶などの高次機能を司り、喜びや怒りや不安など情緒管理の中枢です。極度の緊張や不安などのストレスを関知すすると、大脳皮質から視床下部、自律神経に情報が伝わり、大腸では蠕動運動を促進する副交感神経が過度に緊張し腹痛症状が現れます。中医学ではこの負のメカニズムの解消には頭鍼療法が効果的に作用すると検証されています。


当院ではこの療法に独自の施術法で実践し、過敏性腸症候群の治療に生かし成果を挙げています。過敏性腸症候群の患者さんの日常生活は相当な苦悩と難渋の日々だと思います。仕事や学業にも支障をきたし、将来にも不安をかかえ、それがまたストレスとなり悪循環を繰り返します。


当院の過敏性腸症候群の患者さんへの治療の取り組みの第一はこの悪循環からの解放であり、早期回復を図り、通常の日常を取り戻してもらうことにあります。


既に消化器内科や心療内科で加療中の患者さんも、もしかして自分は過敏性腸症候群かもしれないと疑念をお持ちの方も、是非当院に臆せずご相談にお越し下さい。お待ちしております。